hashi-coo「CO2を減らすお箸」未来の子どもたちに、豊かな環境を残したい。

 

hashi-cooは400年という福井県の箸の歴史の中で2021年に生まれた、新しいブランド。
「CO2を減らすお箸」というテーマのもと未来の子どもたちに、豊かな環境を残したいという思いで箸作りをしています。

 

 

今回は、kuros’ バイヤー 山本が、hashi -cooの代表 大森さんからお話をお伺いしました。

 

まず、福井県の箸の歴史について教えてください。

若狭塗り箸は伝統工芸として400年の歴史があります。
関ヶ原の戦いが終わった後、新しい産業・商売として奨励されたことが始まりです。

当時は箸だけでなく漆器全般を奨励していましたが漆器はどんどんと廃れた中で、昭和30〜40年代で箸が一般流通に残りました。

高度経済成長期となり、箸は大量生産が必須となったことから素材が竹から木に移ります。竹は不良率が高く、利益が取りにくい材質。熱にさほど強くなく、曲がってしまうことも多いのです。

若狭塗りは工程が多いことからリードタイムが長く、その工程の間に不良が出てロスになるのは避けたい。そのため東南アジアから木を仕入れることとなりました。

(山本)なるほど、そこから海外の木材を使用した箸が一般化されたのですね。

そうなんです。私たちが製造を行う福井県小浜市エリアだけでも年間で1億膳の箸が作られています。
海外の木々の乱伐採が問題となり、木の輸入規制が入った今でも、箸の素材は99%海外の木材に依存しているのが現状です。

輸入材を手に入れるためには輸送が必要。そこでも多くのエネルギーが使われ、CO2の排出もされています。
なので、たとえ安価であってもhashi -cooは木材を輸入せず、国内の杉材を使用することにしました。

たとえばhashi-cooが木材を輸入する場合、パプアニューギニアから福井県小浜市まで、輸送に必要なCO2量は35,000 kgにも及びます。
一方、国内の杉材を使えば、里山から小浜市まで、輸送に必要なCO2量は1,500kgで済みます。
その差は、33,500kg。96%も減らすことが出来るんです。

海外の木材を使用する場合、半製品化されてから輸入をし、国内で仕上げるものが多いですが、hashi-cooは国内の、ひいては福井の里山に入り、木を選ぶことから製品作りがスタートします。

 

 

森に入ることからはじまるんですね。
そこからはじめる理由やメリットとは何があるのでしょう。

木は樹齢40年以上経つとCO2を吸収しなくなるって知っていますか?

(山本)木がCO2を吸収しなくなるのって樹齢が関係あるのですか?

そうなんです。私たちhashi-cooは「間伐材」と呼ばれる木材しか使用していません。
間伐というのは森林環境をよく保つために必要なメンテナンスであり、木材の健康な生育のために不要な木を伐るプロセスの総称です。
そして成長を終えた樹齢40年以上の木を里山で伐採し、お箸を作ります。
古木を間伐し、CO2吸収量の多い若木を育成することで、さらなるCO2の削減が可能となります。

また、SGEC/PEFC*等の国際認証を受けた木材や身近な里山の間伐材を使用していることから、切る人、そして所在のわかる木々を使用できるという安心感をお届けできるというメリットもあります。

 

PEFC (Program for the Endorsement of Forest Certification Schemes)PEFC森林認証プログラム

各国の森林認証制度を相互に承認することを目的に1999年に設立されたプログラム。各国の政府が参加して策定した持続可能な森林管理のための政府間プロセスを各国共通の基準としています。

 

(山本)育てて間伐している人がわかる木で作られた箸、とても安心して使えます。

 

hashi-cooさんの箸の素材は、杉かと思いますが、素材の特徴を教えていただけますか?

数年かけて、箸に合う木を探した中で選んだのが杉です。
杉は抗菌作用のある素材。しかしながら空洞が多いのが特徴なので強度を上げるために熱をかけて圧縮し、密度を高くしています。
この加工は箸で使うことのない技術で、他産業から取り入れています。

(山本)里山の木を使うだけでなく、使いやすい箸の開発までも手がけているなんてすごいです。

 

ところでhashi-cooさんの箸は使用期限を設けていますよね。
そう提案している理由とその箸の違いについて教えていただけますか。

 

hashi-cooは4つの期間を設けています。

one time(1回)、one month(1ヶ月)、one year(1年)、そして今回 kuros’ オリジナルで制作する one decade(10年)です。

箸は食事に際して使用される道具です。必ず口の中に触れる道具として世界の約1/3の尋常が使用する消耗品ですが、例えば日本で流通している一般的な割り箸は製造過程が不明で品質にも不透明さがある中国製の竹箸が多くを占めています。

それらは漂白処理をされ、防腐剤や防カビ剤が浸透している可能性が含まれています。そのため清潔さからは大きくかけ離れ、むしろ人体に有害さを与えるリスクがあります。

one time は、1回のみの使用を前提とした箸ですが、漂白や防腐処理をしない代わりに、木本来の無垢のまま、繊細な使い心地や、杉がもつ馥郁とした香りと抗菌作用を楽しんで欲しいという思いを投影してる製品です。

また、10年間の塗り直し保証があるone decadeは、食器洗浄機にも対応した漆塗りを重ねることで、美しい光沢としっとりとした質感などを楽しんでいただき、塗り直しを続けることで暮らしの道具を大切にする方への贈答品といった用途や、ロングライフデザインとして個人で愛用していただくことを目的としています。

 

 

私たちが提唱する使用期限は、消耗品としての箸に、それぞれ役割を与えるためのものです。
清潔さ、品質への安心と安全、森のサイクルを整え活性化すること、そして倫理的な消費を実践することを意図している点が、他と大きく異なります。

 

 

今回の kuros’ のものは食洗機対応の本漆を使用しています。
漆塗りは、下地吹き漆を2回、食洗器対応用の漆4回、仕上げ1回と、計7回、漆を塗って仕上げます。
本漆の不純物を取り除き、純度を高くし、強くすることで食洗機が使えるようになります。

しかし、どうしても漆は経年ではげていきます。そのためhashi-cooではご使用になられている方向けに無料メンテナンスを行なっております。
10年間大切に使っていただけるように、サポートもしっかり行っています。

 

 

(山本)10年間、使い続けるために支えてくれる箸、素敵ですね。
持ち心地、色合いはもちろん、そのサービスがとても素敵です。

 

他にも環境配慮への一環として箸の回収をされているかと思います。
回収した箸はどうなるのでしょう?

 

回収した箸は、製造工程で出る端材とともにアウトドアグッズなどにアップサイクル雑貨として次の役割を与えたり、農業用の資材に活用してたりしています。また細かく粉末にして生分解素材として土壌に戻します。

(山本)使い捨ての箸の行き着く先まで考えていらっしゃるんですね。

 

今回、kuros’ で扱うのは10年使えるお箸ですが、その形状は八角と六角でお願いしました。形状のこだわりってありますか?

箸の触感を大切にとらえています。
すべての形は、職人の綿密な計算と経験から削り出されるもので、人の手馴染みの良い形と指へのあたりに配慮しています。
特に人気の八角形は、円形に近く、指への納まりがもっとも好適なかたちです。

長さは24cmと少し長いように思われますが、細くしなやかな全体像は、大きくなった現代人の手指によく合い、またグローバルジェンダーレスサイズとして、全世界共通の長さに統一しています。

 

(山本)箸も性別関係なく、現代の人の手に馴染むっていいですね。

 

今回の黒さにもこだわりがあるのでしょうか。
kuros’ が取り扱う箸の黒へのこだわりについて教えて欲しいです。

黒は高貴な色であり、余計な色を取り去って深まる無二の色です。
kuro’sの持つ黒色の世界観にリスペクトを払いつつ、「漆黒」と表現されるような天然漆独特の黒を心掛けました。

 

 

(山本)黒の表現がとても艶があって美しく、持ちごこちもいい箸に仕上がって大満足です。ありがとうございます!

★hashi-coo × kuros’ one decade の商品を見る

年末年始のおもてなしに、新しい年から使うお箸に。
そしてお年賀や大切な方へのギフトに、幅広く使いたいお箸です。