「Discovery Japan」VOL.5 毎日使いたくなるタオルができるまで

今回kuros’では毎日使いたくなる、そして黒の表現の美しさにこだわったタオルを今治市にある「七福タオル」さんに作っていただきました。

そんなタオルがどのような時代背景と製造方法でできているか、見学とインタビューを行いました。

kuros’バイヤー 杉原:
まず、120年続く今治タオルの歴史について教えてください。

七福タオル 代表 河北さん:
室町時代から絹織物の産地であったこの街は、江戸時代には絹の高騰化を理由に綿をはじめ、綿花畑の産地に成長し、綿から糸を作り、織るようになりました。

今治の川は水が綺麗で鉄分が少ないのが特徴。この鉄分の少なさが染色の再現性を高めてくれます。水は山から流れてくるため、木々の生態によって隣の街でも水質が異なるんです。

また、瀬戸内海気候で雨が少ないことも天日干しに向いており、さらに海上輸送が整っていたことから白木木綿の産地として成長していきました。

その後明治に入り、パイル織物に技術が進化していき、今治が「タオルの産地」となったのは昭和からになります。

タオルケットの開発と世の中への浸透が、今治がタオルで発展していった理由の一つです。そして昭和30年代ごろからタオルは生活必需品となり、その後贈り物へと発展を遂げました。

「質の良いタオルを贈りたい」という需要に応えるべく、ブランドタオルが成長し、百貨店などで流通。その結果問屋からの発注が増え、タオルメーカーは下請けの要素が強くなっていきます。

その後安価な海外のタオルも増えたことから今治のタオルのブランド力が低下し、産地が縮小してしまいました。

その現状を打破すべく、2005年に今治タオルをブランド化しようという動きが始まり、現在の「今治タオル」ブランドへと歩んでいくことになりました。

 

杉原:長い歴史の中で紆余曲折あり、現在の成功があるんですね。
それでは七福タオルにはどのような歴史があるのでしょう。

河北さん:七福タオルは昭和36年に私の父である河北 明が創業しました。
父の明は14歳の頃に父親を亡くし、タオルを製造していた叔父のもとで技術を学び、独立。七福の名前の由来はその頃引いたおみくじにあった言葉を引用したそうです。(笑)

七福タオルも今治タオルの歴史同様、下請けとしてのタオル製造をしていた時代、経営が難しくなることがありました。

悩んだ結果、その際に自社開発を強化し、建て直しを図りました。

8〜9割がギフトといわれていたタオル市場の中で、七福タオルは「自分で使いたくなるタオル」を開発していくことにしました。

当時一般的に販売されていたタオルは、立派なブランド名がついていても丈が短かったり、大きすぎたり、厚すぎたりと不便な点も多かった。
とにかく使い心地にこだわり、ブランド名を借りたり、パッケージにお金をかけすぎたりしないことで製品にコストと労力を集中することで品質の良さを担保しています。

杉原:この歴史があったからこそ、今があると思うと感慨深いですね。

 

― みっちりやわらか ストライプタオルについて ー

今回kuros’オリジナルタオル開発に伴い、先染め(糸を先に染めてからタオルを織る技術)をご提案いただきました。先染めにするメリットとはどのようなところにあるのでしょうか。

河北さん:まず糸の芯までしっかりと染み込ませることができることから色がより深く、落ちにくくなるのが特徴です。
今回表現した黒が長い間美しい状態で使うことができます。

今回のタオルは、黒を際立たせるために白と黒を組み合わせてストライプにしていますが、これも糸を先に染め、織ることで作ることができる表現です。
美しい色の濃淡が現れているかと思います。

 

<織り機 オフ.MOV>

杉原:後染めでは表現できないタオルになっていることがわかると、より一層使いたくなります!

今回の繊維の特徴はどのようなところなのでしょうか? 

河北さん:今回、高級素材と言われる超長綿で劣化しにくい精紡交撚糸という素材を組み合わせています。
糸の価格が一般的なものの倍近く高価になりますが、超長綿は繊維が長いことからなめらかな触り心地となり、糸自体がしっかりしているので耐久性と弾力が生まれます。

また、社内のタオルデザイナーがしっかりした質感にこだわって、18番の単糸と18番の単糸を更に3本で撚った太さの糸を交互に織り、凹凸感やしっかりとした拭いている感覚を楽しめる贅沢なタオルですね。


 

杉原:ストライプのタオルはありますが、この凹凸感との組み合わせはなかなかなく、素敵なストライプになったのが嬉しいです。

超長綿は最近ではよく耳にしますが、詳しくお伺いしたいのと、タオルにするとどのように良いのでしょうか。

河北さん:まず超長綿自体が綿の生産量の5%しか取れなくて希少性があります。
また繊維長が長く毛羽立ちしにくい繊維な上に、撚る際に精紡交撚という更に毛羽立ちしにくく、甘撚りになっています。
この糸を使用すると、ソフトな肌触りで洗濯を繰り返してもへたりにくく耐久性に優れているタオルになります。

 

 

杉原:タオル1枚でこんなにデザインや技術にこだわりがあるとは驚きです。使うのがより一層楽しみになりました。

また今回製造工程を見学させていただいくために、お時間を調整いただきましてありがとうございました!

一度見てみたかった織りの工程を見させていただき、機械の大きさに驚きました!織り機にかけるまでにの大きなボビンの様なものに一旦巻いていましたが、なぜ必要なのでしょうか。

 

河北さん:織り機の生地幅は広く作ることができ、タオルの種類によりますが、生地幅いっぱいに何枚かのタオルを同時に織ることが出来ます。
そのために大きなボビンに生地幅いっぱいに織れる分のタオルの設計が必要です。

杉原:それにあの大きな機械が必要なのですね。
扱うのはとても難しいのではないでしょうか。

河北さん:わかってしまえば難しくないのですが、社員全員が仕組みを分かっているわけではありません。
担当者と全体の流れを理解する必要のある一部の人間が、これまでの経験を生かして設計してくれています。 

杉原:車で10分ほどの糸染の工場さんも見学させていただきましたが、そちらも七福タオルさんの工場なのでしょうか。 

河北さん:そちらは今治のタオルを染色している協力工場です。
やはり全部を内でやってしまうと極めきれない部分があり、専門分野だからこそのノウハウをこの今治内で密に連携し完結出来ることが産地の良いところだと思っています。

染色と仕上げ・タオルのカットが同じ工場なのでここには最初と仕上げに最低でも2回戻ってきます。

杉原:織り上げ洗いにかけられたタオルは縫製仕上げ・検品のために七福さんにまた戻ってくるのですね、そちらも七福さんの本社から車で5分のところにありましたが拝見させていただきました。

非常に綺麗に整理されていて、何より工場のデザインがとても可愛らしいのが印象的でした。

 

河北さん:楽しい職場で働いで欲しいという思いを込めて、本社・工場を立て直す際に建築デザイナーさんと一緒に考えました。 

杉原:七福タオルさんは、普段担当いただいている方も今日工場などをご案内していただいた社員の皆様もとても良い方ばかりで、社員の方を大切にされている社長の思いが反映されている気がしました。

 

最後になりますが、七福タオルの今後の目標を教えてください。

 

河北さん:素敵な生活の一部に取り入れてもらえるよう、今後も歩んでいきたいと思っています。
さらに心地よく、気持ちが楽しくなるタオルの開発を目指し、将来的には今治タオルのブランドの中でも抜きん出る企業になりたいと思っています。

  

とても良い色・風合いの素材が出来たので、ハンカチ、フェイス、バス、バスマット、ヘアバンドのシリーズを作成しました!

ぜひご自身で使い心地を堪能してみてほしい、逸品です。 

 

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