ガラスが織りなす黒の光と影 -ジュエリー「_cthruit(シースルーイット)」スタート



今季よりkuros’に加わる新しいジュエリー。
デザイナー 梅田香奈さんが手掛けるガラスでつくられたジュエリーブランド「_cthruit(シースルーイット)」

ガラス特有の美しい輝きと繊細なデザインがその日のワンポイントになるようなジュエリーたち。

涼しげに揺らめく夏のファッションにはもちろん、通年通して身につけたくなるお守りのようなアイテムです。

kuros’らしい黒いガラスを使ったジュエリー、そして透明なもの。厚みや細さによって変わる、色の濃淡、光や影の出方などを手に取り感じてみてください。

_cthruitについて

デザイナー 梅田香奈


埼玉県出身。現在は石川県金沢市在住。東京の大学を卒業し、会社員として働きながら、何か手を使って物を作ってみたいという気持ちがずっとあったため、吹きガラスを学べる東京の工房で器などの制作を学び始める。

吹きガラスを始める前まで、ガラスに特に惹かれていたわけではなく、(少なくともそうだと気づいてはおらず、)陶芸の体験をしたりもしていた中でたまたま体験ができる工房を見つけて試したところすっかり魅了された。

数年習うももっと上達させるため、2000年、石川県の能登島ガラス工房の吹きガラス1年コースに通う。
東京に戻ってきてから、ガラスを使ったオブジェの制作などを続ける中、2005年に、現在も使っている「ランプワーク」という技法に出会う。

当時はガラスを使ってジュエリーを作っている人が周りに誰もおらず、手探りで実験を繰り返しながらの制作を行っていた。

ブランドを立ち上げるに至った経緯

2005年以降、ネックレスなど自分が欲しいと思うジュエリーを少しずつ作るようになり、イベントに参加するなどしながらバリエーションを増やしていく。

2008年、DRAFT!という神戸の展示会に参加することでブランド名を初めて決め、ブランドとしての活動をスタートさせた。

と言っても、ブランドを立ち上げるために色々と準備をしたというよりは、どうしていいかわからない中、できること、目の前のことをしていくうちに成り行きでブランドになっていた、という方が近い。


ブランド名の由来

_cthruitと書いて「シースルーイット」と読ませるこのブランド名は、どこかにひっかかりのようなものを持って欲しくてあえて読みづらい名前を選んだ。

とはいえ、cは英語のsee(見る)、thruはthrough(〜を通して)の口語的書き言葉なので、文字列を分解して要素を把握すれば簡単に読めるような並びで、意味も「それを通して見る」というガラスの透明さを考えれば至極当たり前の言葉にしている。

透明なもの、そして透明なジュエリーは時として目にも留まらず、視野に入っていても「見る選択」をしないと見えない。
この、「(一度)見えたら見える」「見なければ見えない」というギリギリのところをブランド名で表現できればと思い、「(一度)読めたら読める」名前にした。

英語ネイティブの方でも一度では読めないが、発音をすると「ああ!なるほど!」とすぐに理解し、覚えてくれる。

ガラスで表現する黒へのこだわり

そもそも透明から始まった私のジュエリーは、はっきりした何かの形を求めて作っているものではなく、か弱く、どこか頼りない、漂う光そのものを纏うためのツールのようなもの。

そして透明のガラスが輝き、動きを得るために必要なのはその反射と影。

数百とあるガラスの色の中から透明黒を見つけた時、これこそが影の色だと感じ、以来、ずっと使い続けている。

この透明黒が、特に薄く、細く使った時に見せる淡い儚い色は、光りながらも周りと溶け込み消えていくような不思議な効果を持っている。

特に、濃い色の背景と見分けがつかなくなる瞬間の怪しげな存在感は私を惹きつけてやまない。

色ガラスは薄い部分は色が薄く、厚みが増すごとに色が濃くなるので、チェーンなどの場合、ガラスが連なった時に重なった部分が多く、透明にはないコントラストやグラデーションが生まれることも魅力。

ガラスでジュエリーを作る理由

透明なガラスは、色のある無しに関わらずその反射によって「光」そのものを感じることができる。それをそのまま身に纏うことができたら、という思いで制作している。

割れるというガラスの「弱さ」も、制作や着用において制約になる場合も多いが、私はそれも同時に魅力に感じている。

ものを丁寧に扱う、という仕草もジュエリーと共に受け取ってもらえたら嬉しい。

梅田香奈にとっての「黒」

他人と比較することのない、個人的な自信の色。
他人と違う自分であろう、と何かを目指し獲得しようとするある種まやかしのような「個性」から自由になる色。

人はその人がその人であるだけで十分に個性的であって、何かを足したり引いたりする必要がないと私は思っている。

黒、というある種の「何もなさ」の中にも自分が自分であることが十分表現されていると感じられることが私には居心地が良く、黒の大きな魅力。

今回kuros’で扱うジュエリーのおすすめのスタイリング

透明のアイテムを黒い洋服に合わせたり、黒を薄い色と合わせてそれぞれ目立たせたりすることももちろん素敵ながら、あえて、アイテムが「見えない」ような取り合わせもお薦めしたい。

例えば白地に透明、黒髪をバックに黒いピアスなど。はっきりとアイテムの輪郭が見えなくなった瞬間、そこに集まるさりげない光や反射を見ることでよりその存在感を「自分だけのもの」として感じられるはず。

アート作品を手にしたような、一つひとつが手作りの_cthruitのジュエリー。
梅田さんの想いと合わせると、選ぶ作業もより一層楽しく心が弾む時間になる。

儚く、美しいガラスのジュエリー。
ご自身のもとに迎えてみては。