AMPIANA 吉田夫妻のマダガスカルでの暮らしとカゴバッグ【スペシャル対談 第二弾】
マダガスカルを拠点とするラフィアバッグブランド「AMPIANA(アンピアーナ)」
AMPIANA はマダガスカル語で「プラス」と言う意味。
商品だけでなく、マダガスカルでの 楽しくも刺激的な暮らしや日常を知ってもらうことで誰かにワクワクをプラスできるように、と言う意味が込められています。
高品質な良いラフィアを使い、手触りが良く、マダガスカルらしさを大切にした愛らしくて 毎日使いたくなるデザイン。
バッグを作る作業は全て職人の手作りで行っています。耳の不自由な方など身体的ハンディキャップを抱えている方も多く在籍する中、職人の技術の高さが評価されています。
そんな AMPIANAで kuros’のために黒く染めたバッグを作っていただきました。
マダガスカルの現地の職人とバッグを作りながら、現地の労働環境や住環境の見直しにも 取り組むAMPIANAの吉田夫妻。
今回は帰国に合わせ、商品作りはもちろん、日々の暮らしについてお伺いしました。
> Interview
kuros’ バイヤー 山本(以下山本):マダガスカルへ行くきっかけって?
AMPIANA 吉田さん(以下吉田さん):前職で発展途上国のインフラ整備を行っていて、最初はコートジボワール、次にマダガスカルへ転勤となり暮らし始めたのがきっかけです。
妻であり、ANPIANAのデザインを手掛ける彩虹もその頃からマダガスカルへ移住しました。
マダガスカルはアフリカではありますが、インドネシア周辺の地域から船で渡ってきた民族が先住民のためアジアとアフリカのカルチャーがミックスされていることからか馴染みやすく、どこか懐かしさを感じました。
山本:アジアの文化もあるんですね。
しかし彩虹さんにとってはガラッと変わる暮らしですね。
吉田さん:そうなんです。
マダガスカルの言語はマダガスカル語とフランス語で。マダガス カルでは買い物も交渉が必要なので言葉を使うことは必須でした。彩虹は言語の勉強からスタートしなければならずとても大変でした。
実はバッグを作ろうと思ったきっかけがここにあって。
毎日泣きながら勉強していた中、彩虹が市場で初めて買ってきたのがカゴバッグ。
現地の方と同じものが買えた喜びに感動したことと、改めてマダガスカルの人たちを見ると老若男女みんなカゴを使って暮らしていたことが見えてきて、こんな暮らしの一部になるようなバッグを作りたいと思ったんです。
山本:ファッションだけではなく、カゴが文化に根付いているんですね。
吉田さん:そう、買い物へ行く時も、魚や野菜をそのままカゴに入れるなどなかなかワイルドに使っている人が多いです。(笑)
素材がラフィアのものもあるのですが、より安価な水草の素材のカゴが主流です。
あと、マダガスカルの天然ラフィアを始めとする天然素材の品質がとても良いことも地元に根付く理由ですね。
山本:そもそもラフィアってどういう素材なんでしょうか?
吉田さん:ラフィアはラフィアヤシの繊維で、ラフィアヤシの葉を削り、繊維を取り出し、それを煮込んで乾燥させる作業を繰り返して素材として使います。
マダガスカル北西部のマジュンガを中心とした周辺の乾燥地域で採れるラフィアが世界随一の良質なラフィアが採れる産地なんです。
良質なラフィアは手触りが良く編みやすい。葉が大きく、棘が少ないのが特徴です。表面か ら出る素材自体の油で強度が増し、水にも強い素材です。
使うごとに味わいが増し、しなやかになっていくのも特徴です。
山本:マジュンガの素材はどのようなルートで仕入れているんですか?
吉田さん:AMPIANA の職人のツテで手に入れることができています。
僕たちは現地の方と同じように市場で食材を買ったり、トゥクトゥクに乗ったりして生活をしているのですが、現地の職人と同じ目線で暮らしていることで、そんな紹介もしてもらえるのかもしれない。
おかげで原材料からお客様に届けるところまでを一貫して見ることができています。
山本:そんなラフィアを今回黒く染めていただきましたが、苦労はありましたか?
吉田さん:正直、今までやってきた染めの中で一番難しかったです。(笑)
グレーくらいに染めることはしていたのですがここまで黒く染めるのは初めてで。ラフィアヤシには表裏があるので、均一に染めることも難しかった。全体が綺麗に黒く染まるよう、何度も試作を行い、この色合いまで辿り着きました。
山本:試作を重ねていただき、ありがとうございます!とても綺麗な黒が表現できていると思います。
吉田さん:あと僕たちのこだわりは色も形も含めて一般的に日本などで販売されているような商品のようにならないこと。
だからロゴもつけないし、金具もつけない。職人たちが何時間も費やして作った背景をできるだけ消したくないんです。
例えばマルシェバッグは1つ作るのに2〜3日、トートバッグは1週間以上かかって出来上がる。
完璧ではない一つひとつ違う形や色、便利さやスタイリッシュさに振りすぎていない 現地の職人だから生み出せる美しさや手仕事らしさを感じていただけたらと思ってます。
山本:今回のカゴバッグ、どんなスタイリングがおすすめですか?
吉田さん:黒はナチュラルなラフィアの色と違い、パンツスタイルやメンズライクなファッションにも合うと思います。
あと、私たちが作るカゴバッグは男性にもおすすめしていて、形も性別問わず使えるよう心掛けているので今回の黒いバッグは男性にも使いやすいかと思います。
山本:性別問わずぜひ使ってもらいたいですね!
現在マダガスカルで暮らし、職人の方々と共に働いていらっしゃいますがその取り組みと今後の目標を教えていただけますか。
吉田さん:バッグを通じて、マダガスカルの暮らしが豊かになっていけばと思っています。
経営や管理も現地の人に任せていて、いつか自走できるようになればと思っています。 また、マダガスカルで非営利社会保障団体「HANDI-CRAFT MADA」や職業訓練教育施設 を設立しました。
マダガスカルは病院代が高く、一世帯あたりの人数も多いため、病院へ行くための資金支援、そして職人の方々のランチの支援をしています。ランチは食事代を渡すのではなく、昼食を共にする場を作り、おなかいっぱい食べてもらう。
そこでのコミュニケ ーションも重要と考えているし、何より職人さんに元気でいてもらうことが目的です。 今回のバッグ含め、AMPIANAのバッグの収益の一部も支援に充てています。
今後はAMPIANAとして日本以外の海外へ向けた取り組みをし、事業を少しずつ大きくしてマダガスカルでのアトリエをもっと大きくすることが目標。
ちょっとしたクリニックや学校、児童館も作って小さな村みたいなものを作りたいです。
ラフィアバッグを通して見える、吉田夫妻の今後の取り組みにもとてもワクワクします。